【理系のための企業研究】各メーカーの特徴と方針を知ろう 12回目 (化学)三菱ケミカル

理系企業研究(2021年)

ここでは、理系の方向けに、企業の面接官が重要視するやりたい仕事と企業側の事業方針のマッチングを調べる手助けとして、さまざまなメーカーを取り上げ、いろんな事業情報を基に、その企業の特色と力を入れて取り組もうとしている事業(仕事)が何かを紹介してゆきます。

今回は三菱ケミカルを取り上げます。

同業者に三井化学・住友化学がありますが、これら原油を原料とする化学メーカーの事業範囲は、石油会社から購入したナフサを、エチレンプラントと呼ばれるブラント設備からエチレンやプロピレンなどという世に出回る化学製品のもととなる「基盤素材」を製造し、基盤素材を基とする化学製品まで製造する範囲を事業として行っています。一方、基盤素材をそのまま、他のメーカーへ材料として販売する場合もあります。三菱ケミカルでは、基盤素材を販売する「MMA」「カーボンケミカル」「炭素」事業と、その後の機能商品を作る「高機能フィルム」「情電・ディスプレイ」「高機能化学」「新エネルギー」「高機能成形材料」「高機能ポリマー」「環境・生活ソリューション」の10の事業に組織を分けています。

三菱ケミカルの特徴は、各素材ごとの事業分野で、その素材商品ならではのさまざまなニーズの可能性を広げていこうという、規模が大きいからこそできる方針が特徴です。他の三井化学や住友化学などの化学メーカーと比較して、基盤素材・機能商品の分野ともに事業の組織が多く分けられていることからも、各素材の商品にとことん特化した体制を作ってることが伺えます。

三菱ケミカルでは以下の需要を見越して各事業で関連する事業を拡大する方針を示しています。ヘルスケアの分野も事業拡大方針に含まれていましたが、こちらは、三菱ケミカルホールディングスとして、三菱ケミカルと兄弟会社にあたる医薬品会社やガス会社で行う範囲が多いため、三菱ケミカルでフォーカスを絞っているのは以下4項目だと考えられます。

これらを踏まえて各事業の具体的な方針について記載します。

基盤素材にあたる「カーボンケミカル」「MMA」事業は、ともに同じプラスチック原料の製造事業にあたります。カーボンケミカル事業は、昔からある国内のエチレンプラントによる製造で、国内の特に自社の機能商品向けの事業です。MMA事業は、最新の三種類の製造方法のプラントで、主に海外への販売事業基盤拡大を目的に進めている事業です。MMA事業を海外で進める方針としては、この後、海外での機能商品拡販を推し進めてゆく際に、現地で安価に基盤素材を手に入れられる体制を作るためです。機能商品の販売比率が海外生産へシフトしてゆくにつれて、カーボンケミカル事業は縮小させ、人員を海外のMMA事業へ移動させてゆく可能性が考えられます。しかし、一方でカーボンケミカル事業は製油会社であるENEOSと製造の最適化を図り、資源循環サイクルを目的とした廃プラスチックの再利用によるケミカルサイクル事業を推し進めていますので、一定規模の国内事業は残す方針です。

炭素事業では、国内・海外の主に鉄鋼事業へ販売するコークスを製造しています。現段階では中国の鉄鋼需要が旺盛なことから事業が成り立っていますが、原料の石炭も輸入に頼っていることから、中国の鉄鋼需要が縮小してゆくこの先は事業縮小が考えられます。

高機能成形材料事業で、特に炭素繊維複合材は、①モビリティーにあたる自動車需要が環境問題により積極的に取り組む傾向があるヨーロッパに集中しつつあるため、海外拠点を拡大してゆく方針です。高機能エンジニアリングプラスチックと高機能化学事業に関する商品も自動車を主軸に海外への拡販を進めるため、事業拠点を海外に拡大する方針です。

情電・ディスプレイ事業では、②IT・エレクトロニクス・ディスプレイにあたる半導体関連需要の拡大を見越して電子部品であるセラミックコンデンサの外装用保護フィルムの生産をインドネシアで拡大していく方針です。

環境・生活ソリューション事業では、③環境・エネルギーにあたる中国の水需要を見越し、環境・生活ソリューションでは、排水処理の装置及び水処理薬品の拡販を進める方針です。

新エネルギー事業では、③環境・エネルギーにあたるリチウムイオン電池の機能向上を拡大を見越し、電池材料の生産拡大を進める方針です。

高機能ポリマー事業では、③環境・エネルギーに関係して①モビリティ③②IT・エレクトロニクス・ディスプレイともに環境にやさしい石油を必要としない素材の需要が高まってゆくことを見越し、植物性のポリマーの事業領域拡大を進める方針です。

高機能フィルム事業は、三井化学と同様に、食品ロス防止による①パッケージング・ラベル・フィルムの需要増加を見越し、国内・海外ともに事業を拡大させる方針です

もっと、この会社の事業方針を知りたい方は、会社HPのIR資料を見るとより詳細が知れると思います。また、実際の仕事内容について、どのようなことをするのか知りたい方は、最終的に企業を訪ねるのがベストですが、それによって企業に第一印象を持たれるのが怖い、まだ、そこまでしたくないという方は、転職エージェント経由で仕事内容を教えてもらう方がよいと思います。紹介してもらう目的ではなく、個人では聞きにくい情報を企業に聞くためのツールとして利用してみてはいかがでしょう。

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以前、プラントエンジニアの仕事内容について記事を書きましたので、こちらもご覧いただければと思います。

素材メーカーの技術職の大半ってどんな仕事しているの? | もしも目指すなら (mazasunara.com)

エネルギー・素材メーカーの工場における電気技術者の業務(二回目 減圧設備) | もしも目指すなら (mazasunara.com)

エネルギー・素材メーカーの工場における電気技術者の業務(三回目 空気分離装置) | もしも目指すなら (mazasunara.com)

※エチレンプラントなど化学系の事業は加熱と蒸留、真空が主な生産設備の機能となりますので、上記の記事の仕事内容と似た仕事になると思います

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