【理系のための企業研究】各メーカーの特徴と方針を知ろう 6回目 (繊維)東レ

理系企業研究(2021年)

ここでは、理系の方向けに、企業の面接官が重要視するやりたい仕事と企業側の事業方針のマッチングを調べる手助けとして、さまざまなメーカーを取り上げ、いろんな事業情報を基に、その企業の特色と力を入れて取り組もうとしている事業(仕事)が何かを紹介してゆきます。

今回は東レを取り上げます。

同じ繊維メーカーの帝人と両者ともに持ち合わせている医療事業で比較したとき、東レのライフサイエンス事業は、フィルター技術を駆使した透析器、血液浄化機、といった繊維メーカーの技術が応用された製品が際立つ一方、帝人のヘルスケア事業は、錠剤薬などの比較的に繊維事業とは離れた商品を取り扱っています。また、繊維事業の撤退縮小を進めようとしている帝人に対し、東レは、繊維事業とライフサイエンス(医療)事業を一つの括りとして日常生活に医療を取り込む商品へと事業を発展させていこうとしています。このように、東レの特徴は積み重ねた事業の技術を他分野に広げて、育成していこうという特色があります。

東レでは以下の4項目にに関する需要が高まってゆくこと見越し、各事業で関連する事業を拡大する方針を示しています。帝人と比較して具体性が低いですが、これは帝人が5~10年後の需要を見越した事業方針を掲げているとすれば、東レはカーボンニュートラルなど30~40年後の長期的な需要に対し事業方針を掲げているためです。

では、この戦略目標に対し、各事業の役割分担とそれぞれの事業が目指す形を考えてみましょう。

東レでは、事業方針の①②③の項目を地球環境に対する需要としてグリーンイノベーション、④の項目をライフイノベーションと位置付けて事業領域を二つに分けて成長させていこうとしています。

炭素繊維複合素材・機能化製品・環境エンジニアリング事業は、比較的グリーンイノベーションの事業領域の位置づけにあります。炭素繊維複合材の風力発電・航空機・自動車使用、機能化製品としてのフィルムを使ったリチウム電池の拡販は、温室効果ガス抑制と(電気による)循環型の資源利用と生産のための事業。環境エンジニアリングの濾過技術は、安全な水・空気のための事業。これらの事業は、領域の隔たりなく1つの事業として拡大させていく方針です。

ライフサイエンスと繊維事業は比較的ライフイノベーションの事業領域の位置づけにあります。衣服と一体となって長期間の心電図測定を行う「“hitoe ”ウェアラブル心電図測定システム」など、繊維事業を衣類など製品の最終形態まで自社で行い、そこにライフサイエンス事業分野の商品を合体させることで、医療分野、日常生活のヘルスケア分野における需要を取り込んでいく方針です。

各事業とも広い視野を持って需要を取り込む方針となっていますので、事業としては、取り込む需要の市場規模拡大に合わせて設備に投資してゆくと考えられ、一つの事業での仕事のスキルを着実に身に着けたい人は向いていると思われます。

もっと、この会社の事業方針を知りたい方は、会社HPのIR資料を見るとより詳細が知れると思います。また、実際の仕事内容について、どのようなことをするのか知りたい方は、最終的に企業を訪ねるのがベストですが、それによって企業に第一印象を持たれるのが怖い、まだ、そこまでしたくないという方は、転職エージェント経由で仕事内容を教えてもらう方がよいと思います。

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参考 炭素繊維の製造に興味のある方へ

炭素繊維はポリアクリロ二トル繊維、コールタール、石油重質分などを原料として、3段階に分けた加熱を行うことで作られます。生産性を高めるため速度変えれば、原料に与える加熱温度の時間が変り、生産効率が変わってくるため、最適な生産精度の良い方法を構築するための仕事をする機会があるかもしれません。

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