【理系のための企業研究】各メーカーの特徴と方針を知ろう 11回目 (製紙)日本製紙

理系企業研究(2021年)

ここでは、理系の方向けに、企業の面接官が重要視するやりたい仕事と企業側の事業方針のマッチングを調べる手助けとして、さまざまなメーカーを取り上げ、いろんな事業情報を基に、その企業の特色と力を入れて取り組もうとしている事業(仕事)が何かを紹介してゆきます。

今回は日本製紙を取り上げます。

製紙業界では、他に王子HDが同業者としています。日本製紙は、「木材事業」「紙・板紙」「パッケージ」「家庭紙・ヘルスケア」「ケミカル」「エネルギー」の6つに事業組織を分けています。独立した企業構成である王子HDと比較したとき、日本製紙の特徴は、社内で事業組織を多角化することで、できるだけ多くの需要を取り込み、儲かる事業に人員を大量配置するための体制をとっていることです。

一般的に、ホールディングスではない複数の事業を持った企業は、各事業が対等ではなく、中核となる事業を持つことや、新たな事業を築いて今までのいくつかの既存事業の人員や資金を自由に移動させ、会社全体として社会の需要に対応する思想があります。そのため、儲かる事業に大量生産のため、一気に人員と資金を投入し、儲からないときは、別の事業に人員と資金をずらします。儲かってた事業の需要が急減したとき赤字が発生することはある程度許容し、その代わり別の事業で黒字を確保し、全体の事業で黒字を確保するという事業形態を目指しています。これまで日本製紙は印刷紙(製紙)事業を中核となる事業としていましたが、デジタル化の進行により長期的に印刷紙需要の低迷が進むことから、製紙事業を板紙(段ボール)と組織を統合し、他のグループ会社の事業も製紙事業と一つの会社に吸収しまとめることで黒字の確保と、事業の多角化を進めています。現在のところ製造業の場合人員を当てている規模を示す売上比率で、紙・板紙事業の比率が多いということは、人員を大量移動させられるような儲かる事業を模索している途中段階ということです。

日本製紙は以下に力を入れるように掲げています。これはつまり、吸収や合併により別事業転換を図るのではなく、循環型社会へ向けた資源サイクルに適している木材を基軸とした事業を継続してゆくという方向性を示しています。

では、この方針に対し、それぞれの事業が進める方針を紹介します。

紙・板紙事業は、現状社員数も多く利益率が非常に低いため、紙事業に関しては需給ギャップの調整のため事業を縮小進め、板紙事業は現状を維持し、価格転嫁を図る方針です。

パーケージ事業は、需要の大きな変化がないとされるため、生産コスト効率改善の方向で進める方針です。また、家庭紙・ヘルスケア事業では、長期的に高齢化によりトイレットペーパーや大人用オムツなどの需要が国内で増加するとして、新素材セルロースナノファイバーの粘性を活用した肌触りの良いオムツや失禁製品を高付加価値品として増産してゆく方針です。

ケミカル事業では、紙を製造する過程で発生する副産物とパルプを使用した化学品を製造しています。医療用のレーヨン素材に使用されるため需要が拡大するためパルプを、電気自動車需要の増加に伴いリチウムイオン電池に使用されるセルロース誘導体を販売拡大する方針です。

エネルギー事業の需要は堅調であるため、現状では、バイオマス発電事業に紙・板紙事業の人員を配置転換し拡大を進める方針で進めています。木材事業もともにバイオマス発電事業拡大に伴いバイオマス燃料の供給拡大を行う方針です。

もっと、この会社の事業方針を知りたい方は、会社HPのIR資料を見るとより詳細が知れると思います。また、実際の仕事内容について、どのようなことをするのか知りたい方は、最終的に企業を訪ねるのがベストですが、それによって企業に第一印象を持たれるのが怖い、まだ、そこまでしたくないという方は、転職エージェント経由で仕事内容を教えてもらう方がよいと思います。紹介してもらう目的ではなく、個人では聞きにくい情報を企業に聞くためのツールとして利用してみてはいかがでしょう。

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以前、プラントエンジニアの仕事内容について記事を書きましたので、こちらもご覧いただければと思います。

素材メーカーの技術職の大半ってどんな仕事しているの? | もしも目指すなら (mazasunara.com)

エネルギー・素材メーカーの工場における電気技術者の業務(一回目 高炉) | もしも目指すなら (mazasunara.com)

※高炉に加えて製紙工場にある蒸解設備について紹介しています。

エネルギー・素材メーカーの工場における電気技術者の業務(四回目 圧延設備) | もしも目指すなら (mazasunara.com)

※圧延設備に加えて製紙工場にある抄紙設備について紹介しています。

エネルギー・素材メーカーの工場における電気技術者の業務(七回目 水質環境設備) | もしも目指すなら (mazasunara.com)

※製紙工場にあるフローテータ設備について紹介しています。

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