【理系のための企業研究】各メーカーの特徴と方針を知ろう 8回目 (鉄鋼)日本製鉄

理系企業研究(2021年)

ここでは、理系の方向けに、企業の面接官が重要視するやりたい仕事と企業側の事業方針のマッチングを調べる手助けとして、さまざまなメーカーを取り上げ、いろんな事業情報を基に、その企業の特色と力を入れて取り組もうとしている事業(仕事)が何かを紹介してゆきます。

今回は日本製鉄を紹介します。

同じ鉄鋼メーカーにはJFEホールディングスや神戸製鋼所があります。これらの企業と比較したとき、日本製鉄の特徴は、鉄鋼事業を中核とした大量生産に特化した事業ということです。JFEホールディングとの事業構造と比較したとき、JFEは鉄鋼を含む3つの事業を中核とし対等な立場で独立させ、各事業は常に、個別で黒字を維持できる事業として継続させていくという思想をもっています。そのため、各事業の需要の急減に対して、それぞれの企業が速やかに縮小生産と利益確保がとれるような人員と資金のスリムな事業体制を目指しています。

これに対し、日本製鉄の事業構造は、鉄鋼事業を中核として、大量生産のために大量の人員と資金を投入することで、マスメリットにより大量の利益を得ることができる構造です。鉄鋼事業の需要が急減したとき赤字が発生することはある程度許容し、その代わり子会社の事業で賄うことで全体の事業の黒字を確保するという事業体制を目指しています。つまり、JFEと比較すると、日本製鉄は鉄鋼需要がひっ迫していても大量生産に長けた体制をとることで、社会に対して鉄の供給責任を果たしてゆこうという特色が見て取れます。

日本製鉄の事業方針は以下の3つが代表として掲げられています。

鉄鋼事業で行っている主な内容を以下に示し、事業方針に対する具体的な方針を紹介します。

①「素材とソリューションの提供」とは、自動車が求めるニーズが高度化してゆく中で、今後、そのニーズに答えるためには、鉄という素材だけではなく、プラスチックや炭素繊維複合材といった材料を使用する場所によって変えて提供することが必要であり、自動車メーカに対しては、使用箇所と使用材料、制作するまでの製造プロセスまでを一貫して提供できる体制を目指してゆくという方針です。具体的な例として自動車の車体を取り上げて考えてみます。自動車が事故による衝突を起こしたときを考え、軽くて硬い素材の炭素繊維を使用する一方で、どこかで鉄のしなりやすさによる吸収性を高める必要があったりします。衝突時の乗員への衝撃は、自動車に使用される全体の部品構成や、それらの接合方法によって変わってきます。日本製鉄は、子会社の日鉄ケミカルマテリアルと協力してそれぞれの材料の特性と長所を生かし、マルチマテリアル化に対応して素材を提供してゆくための体制を目指しています。

②「グローバル事業展開拡大」では、自動車・インフラ・資源エネルギー(石油・ガス)と3つの供給先に対し、海外への事業拡大を計ろうとしています。自動車用の鉄鋼は北米と中国を中心に、インフラ用の鉄鋼は東南アジア、資源エネルギー鋼材は石油の多い中近東・中南米と、それぞれ需要の拡大地域に合わせて技術者派遣による技術供与により販売網の拡大を進める方針です。

③「つくる力の継続強化」とは、日本における生産体制の合理化です。人口減少による鉄鋼需要の減少と自動車等の輸出品目の需要増加を見越し、選択と集中により国内需要に合った生産体制を縮小構築することで国内の利益率増加を図ろうとしています。

もっと、この会社の事業方針を知りたい方は、会社HPのIR資料を見るとより詳細が知れると思います。また、実際の仕事内容について、どのようなことをするのか知りたい方は、最終的に企業を訪ねるのがベストですが、それによって企業に第一印象を持たれるのが怖い、まだ、そこまでしたくないという方は、転職エージェント経由で仕事内容を教えてもらう方がよいと思います。紹介してもらう目的ではなく、個人では聞きにくい情報を企業に聞くためのツールとして利用してみてはいかがでしょう。

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以前、プラントエンジニアの仕事内容について記事を書きましたので、こちらもご覧いただければと思います。

素材メーカーの技術職の大半ってどんな仕事しているの? | もしも目指すなら (mazasunara.com)

エネルギー・素材メーカーの工場における電気技術者の業務(一回目 高炉) | もしも目指すなら (mazasunara.com)

エネルギー・素材メーカーの工場における電気技術者の業務(四回目 圧延設備) | もしも目指すなら (mazasunara.com)

 

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