【理系のための企業研究】各メーカーの特徴と方針を知ろう 1回目 (非鉄)DOWAホールディングス

理系企業研究(2021年)

ここでは、理系の方向けに、企業の面接官が重要視するやりたい仕事と企業側の事業方針のマッチングを調べる手助けとして、さまざまなメーカーを取り上げ、いろんな事業情報を基に、その企業の特色と力を入れて取り組もうとしている事業(仕事)が何かを紹介してゆきます。

今回はDOWAホールディングスを取り上げます。

非鉄金属業界には、三菱マテリアルやJX金属といった企業があります。これらの企業にはホールディングスという仕組みがないわけですが、この意味について先に触れておきます。

 ホールディングスとは事業をいくつかに分社化し、分社化した企業間は対等な立場で独立し、別々に個別の事業方針を掲げて、各事業は常に、個別で黒字を維持できる事業として継続させていくという思想をもっています。そのため、需要の急減に対して、それぞれの企業が速やかに縮小生産と利益確保がとれる事業体を目指しています。

一方で、ホールディングスではない複数の事業を持った企業は、各事業が対等ではなく、中核となる事業を持つことや、新たな事業を築いて今までのいくつかの既存事業の人員や資金を自由に移動させ、会社全体として社会の需要に対応する思想があります。そのため、儲かる事業に大量生産のため、一気に人員と資金を投入し、儲からないときは、別の事業に人員と資金をずらします。儲かってた事業の需要が急減したとき赤字が発生することはある程度許容し、その代わり別の事業で黒字を確保し、全体の事業で黒字を確保するという事業形態を目指しています。

DOWAホールディングスは、ホールディングスなので、各事業が需要に対応できるスリムな形態を目指しているということです。

ここからは、中長期計画を参考に各事業の方針を紹介します

DOWAホールディングス全体では、今後、以下の4分野の需要が伸びると予測し、これらに関連させて各事業(各会社)の方針を決めています。

上記需要予測を念頭に置いた各5つの事業の戦略を各事業内容を伏せて考えるとそれぞれどのような方針が見て取れるか考えてみます。

熱処理事業では、①現行ビジネスモデルの強みを発揮し、さらなる収益拡大を計る。②新規事業領域への取組を推進する。という2つを事業戦略として掲げています。①は、これまでインド・メキシコに加熱炉販売と熱処理サービスを展開してきたようですが、需要増加が見込まれることから、さらにインドの広い範囲へ販売網の拡大を行っていくということですので、インドでの製造基盤拡大を行っていきたいということでしょう。海外で事業基盤を築こうとしているわけですから、インド派遣により技術指導を行えるような技術者は増やしたいと考えていると思われます。②は、純粋に新しい能力や性能を備えた加熱炉の開発にも今まで通り開発費を投じますということだと思います。

金属加工事業では、①自動車分野、IOT関連分野に注力し事業を拡大する。②事業環境変化に強い経営基盤を確立し、収益力をさらに高める。という2つを事業戦略として掲げています。①は、銅の圧延材・鍛造材は、自動車の電動機に使われたり、電子部品に使われるため、今後の需要増加を見越し、資金を投じで生産設備を拡大してゆきますということですので、この分野の技術者は増やしていこうとしていると思います。また、金属セラミック基板の製造分野においても同じ考えだと思われます。一方、②は、メッキ事業を主に指していると思われます。メッキでは国内工場の最適化を行うとしていますので、つまり、国内の工場をいくつか閉鎖し、一ヵ所に工場を集中させるなど事業を縮小しますということです。この分野の人材は後に配置転換があり得るということです。

電子材料事業では、①新規事業を立上げ、新たなニッチトップ製品を育成し収益の柱とする。②自動車、医療などの成長市場へ事業領域をさらに広げる。という2つを事業戦略として掲げています。①は、現在、分析測定対象に紫外線や赤外線を当てて、光の吸収量で対象を判別するような分析計やセンサに使われる紫外線を発するLEDを販売しています。この紫外線を発するLEDを殺菌目的で衛生機器向けに製品として育成していこうということだと思います。この分野の研究を進めている人には、資金の投入意欲があるため良いかもしれません。②は、3つすべての事業に当てはまり、半導体、電池等の金属粉は自動車に、センサ用LEDは身近なヘルスケアで使用されるため、販売領域を拡大させ、生産設備も均等に増やしていきますということだと思います。

精錬事業では、精錬・リサイクル複合コンビナート機能を深化させ、事業を強靭化する。という事業戦略として掲げています。これは回収効率や製造コストを軽減し、利益率向上のための投資コスト高めてゆきたいということだと思いますので、事業の拡大ではなく、現状の設備の性能向上や省エネルギー化を目的とした改造に投資ししていくという方向性だと思います。IOTを駆使したデジタルトランスフォーメーションといった低コストで効果的な投資が今のトレンドなので、情報技術者は好まれる傾向にあるかもしれません。

環境・リサイクル事業では、①アジアNo1の地位確立に向けて、既存事業の競争力向上を図り、各事業分野、地域においてシェア拡大と新規事業展開を加速する。②世界の環境動向を見据え、次の柱となる新規事業の楚を築く。という2つの事業戦略を掲げています。①は、電気炉を扱う分野では低濃度pcb機器の処分、土壌浄化は国内埋立処分場の建設など、環境・リサイクル事業は、民間ではなく、行政との関わりの多い事業であるため、市場規模は決まっていますが、安定している傾向があります。なので、今の事業を継続し、信頼を得ながらシェアを広げていきたいということだと思います。②は、一般的に国の発展の順番が、インフラ整備⇒生産規模の拡大による多消費⇒資源循環社会の形成と進むため、海外の国の発展状況を見据えながら現在国内で行っている事業が必要とされる機を見逃さないように海外事業への展開をしてゆきますということです。海外の技術派遣に行く技術者を今から求め、育成していくと考えられます。

もっと、この会社の事業方針を知りたい方は、会社HPのIR資料を見るとより詳細が知れると思います。また、実際の仕事内容について、どのようなことをするのか知りたい方は、最終的に企業を訪ねるのがベストですが、それによって企業に第一印象を持たれるのが怖い、まだ、そこまでしたくないという方は、転職エージェント経由で仕事内容を教えてもらう方がよいと思います。

理系に強いエージェント【UZUZ】

理系(機械・電気電子・情報)出身の希望者は
学歴を活かした就職先をご紹介しています。仕事内容を知るところから時間をかけて適正な仕事を知りましょう。

それも、まだ、早いという方は、以前に素材メーカーの電気技術者の業務内容について投稿しましたので、今回の企業の事業範囲をご覧ください。

エネルギー・素材メーカーの工場における電気技術者の業務(四回目 圧延設備) – もしも目指すなら (mazasunara.com)

エネルギー・素材メーカーの工場における電気技術者の業務(五回目 アーク炉) – もしも目指すなら (mazasunara.com)

コメント

タイトルとURLをコピーしました