%インピーダンスとは?どのような扱いのものなの?

絵でわかる送配電の仕組み

%インピーダンス(%Z)は、遮断器を設置するとき、遮断に必要な電流の大きさを計算するために使われています。逆数で短絡比(=短絡電流÷定格電流)というわかりやすい指標があるのに、なぜ必要あるのか不思議に思った人もいるかもしれません。必要とされる本来の目的について説明したいと思います。

以下のように、電力会社の発電機から変圧器や電線の抵抗を介して需要家へ電力を供給していいたとします。この時、需要家のモーターで短絡事故が起きたとき、どのくらいの容量の遮断機があれば遮断できるか?これを考えてみましょう。

通常、電気を供給しているとき、発電機側の送電端電圧VGとモータ側の受電端電圧VMの差I1・Zは、送電線上の抵抗Zが負荷と比較すると非常に少ないため、非常に小さな電位差となります。

 ここで、モータの負荷が増加したとします。この時、発電機側は需要家側の電圧を維持し続けられるように、電流を増減するため、モータの負荷増加とともに同じだけ発電出力を上げ電流を流します。この時、送電端電圧VGと受電端電圧VMの差I2・Zは、負荷増加前より増加しますが、これもまた、非常に小さな電位差となります。なので、発電機は、ほぼVG=VMとして、受電端電圧を維持するように発電を行います。

では、次の場合はどうでしょう。短絡した場合、発電機は同様に受電端電圧VMの大きさを下げることなく維持できるまで発電し、電流を流し続けます。

この時、流れる短絡電流Isは通常時の受電端電圧VMを変圧器や電線の抵抗Zで割った値となります。

最初の話に戻りますが、求めたいのは遮断に必要な容量もしくは電流の大きさです。通常、遮断器はモーターなどの定格電流を基準に選定するため、先ほどの式の分母に定格電流を付け足して、定格電流に係数をかけて出すような係数、短絡比Kが作られています。

短絡比ができたところで、以下の状態での短絡比の算出を考えてみます。通常、発電機から需要家まではたくさんの変電所や送電線を介していますので、その範囲の抵抗もZ1、Z2、、、と連なっています。短絡比では、Z1の短絡比、Z2の短絡比と分けることができません。線路上にいくつも抵抗があるときは、短絡比の逆数の方が扱いやすいのです。そこで、%インピーダンス(%Z)が使われています。

参考にした本 送配電工学 (電気学会大学講座)

戦術で覚える!電験2種二次計算問題

コメント

  1. kodama より:

    今ままで%Zと短絡比についてイメージができず。
    わかりやすくまとめられたこの記事を読んで理解度が増しました。ありがとう!

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