2020年以降の電気主任技術者の需要動向②

電気主任技術者(体験談)

前回は3種の電気主任技術者の需要動向がどの程度あるか紹介しました。今回は電気主任技術者の資格者数がこのままいくと、どのように変わっていくのか紹介します。経済産業省の報告書によれば現状3種が229,000人、2種が34,000人で、25年後の2045年には、3種は33,000人減って196,000人、2種は3,800人減って30,200人になると記載されています。しかし、これだけ減っていくのに対し、経済産業省が電気主任技術者の量産を行うための対策を取らないのか?資格を量産して電気主任技術者の価値が下がりはしないか?その心配を統計の観点から読み解こうと思います。

3種電気主任技術者の現在の年齢分布から割り出してみました。

電気技術者試験センターの平成21年の実態調査結果の合格時の年齢分布、経済産業省の報告書の現状の人数・申請者と試験合格者の割合をもとに、現在2020年の有資格者年齢分布を割り出しました。

まず、毎年の合格者が5,000人ですから、10年間で50,000人が加わります。30年間での合格者の中に離脱者がそれほど出ないと想定すると、70歳以上の人が仕事を続けているとは考えにくいので、離脱者は、10年後に52,445人、20年後に52,583人、30年後に60,135人と離脱者が増え、現状から不足する資格者数は、10年後に2,445人、20年後に2,583人、30年後に10,135人といった感じでしょうか。この状況だけ考えれば、離脱者はどんどん増えていくため、どこかで電気主任技術者を増やす政策がとられても不思議ではないです。ただ、それ以降の離脱者推移を考えたとき、どのようになっていくでしょうか?以下に3種電気主任技術者の合格時の年齢分布を示します。

資格者数の継続的な維持に理想的な状態とは、資格合格者全員が20代で、離脱していく人数も合格した人数と同じであること。これが継続する状態です。つまり、資格者の理想的な年齢分布は均等であり、平行な離脱者の減少であることが理想なのです。その観点から考えると、現在は20代を中心に3種の合格者は輩出されているため、現在の10代~40代の年齢分布はいずれ均等に(平行に)なっていくことが見えてきます。資格者制度の体制が安定してくる以上、量産を行うための対策をとる可能性は低いと考えられます。

続いて、2種電気主任技術者はどうでしょう?

毎年の合格者が900人ですから、10年間で9,000人が加わります。3種と同じように30年間での合格者の中に離脱者がそれほど出ないと想定すると、70歳以上の人が仕事を続けているとは考えにくいので、離脱者は、10年後に8,233人、20年後に9,558人、30年後に9,266人と離脱者が増え、現状から不足する資格者数は、10年後に-767人、20年後に558人、30年後に266人といった感じです。あまり減らない?

いいえ、それは違います。

2種の場合は合格者の年齢層が高いため、30年間での合格者の中に離脱者が多く出るので、3種と同じように考えてはいけないのです。以下に2種電気主任技術者の合格時の年齢分布を示します。

20代よりも40代の方が、合格者が多いのです。この場合、少し詳細に有資格者の年齢分布傾向を想定しなければいけないので、以下のように考えます。

例えば、20年間で増える有資格者の年齢分布を算出する場合、20年前から10年間の資格取得者分布と10年前から10年間の資格取得者分布を合わせるときに、10年ずらして足し合わせて年齢分布を算出します。

この計算と同じ要領で、10年間ごとに合格者を現在の分布に足してゆきます。

5~10年後の現役の有資格者人数は34,789人です。現状から789人増加します。

しかし、その後の減少傾向は、この段階では、50代から急激に離脱していくため、有資格者を増やす必要があります。

15~20年後の現役の有資格者人数は33,980人です。現在から20人減少とそれほど変わりません。

しかし、その後の減少傾向は、この段階でも、60代から多く離脱していくため、有資格者を増やす必要があります。

25~25年後の現役の有資格者人数は32,408人です。現状より1,592人減少しますが、資格者の緩和措置をとる必要があるほど急激な減少数ではありません。

その後の減少傾向は、60代から40代にかけて一定で離脱していく傾向であるため、その後、有資格者を増やす必要性は、現状を維持するうえでは必要がない状態となります。

つまり、現状の資格合格者の年齢分布で、有資格者が増えるのであれば、3種と同様、資格者制度の体制が安定してくるため、量産を行うための対策をとる可能性は低いと考えられます。

電気主任技術者の資格需要は、下がることは絶対になく、今と変わらないか、むしろ、電気設備の増加に伴い上がるといったことが想定できます。

 需要の低下がないことを安心いただき、引き続き取得に励んでいただければと思います。

 皆さんが晴れて、電気主任技術者の資格を取得し、社会でご活躍されることを心より祈っております。

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