【理系のための企業研究】各メーカーの特徴と方針を知ろう 13回目 (化学)三井化学

理系企業研究(2021年)

ここでは、理系の方向けに、企業の面接官が重要視するやりたい仕事と企業側の事業方針のマッチングを調べる手助けとして、さまざまなメーカーを取り上げ、いろんな事業情報を基に、その企業の特色と力を入れて取り組もうとしている事業(仕事)が何かを紹介してゆきます。

今回は三井化学を取り上げます。

同業者に三菱ケミカルがありますが、これら原油を原料とする化学メーカーの事業範囲は、石油会社から購入したナフサを、エチレンプラントと呼ばれるブラント設備からエチレンやフェノールという世に出回る化学製品のもととなる「基盤素材」を製造し、基盤素材を基とする化学製品まで製造する範囲を事業として行っています。一方、基盤素材をそのまま、他のメーカーへ材料として販売する場合もあります。三井ケミカルでは、基盤素材を販売する事業と、その後の機能商品を作る「モビリティー」「ヘルスケア」「フード&パッケージング」の4つの事業に組織を分けています。

三菱ケミカルと比較したとき、三井化学の特徴は、事業において、選択と集中により利益を生み出してい行こうとする方針が全面的に出ていることです。例えば、三菱ケミカルの機能商品範囲の事業領域の組織が、「高機能フィルム」「高機能化学」「高機能ポリマー」・・・と製造する素材の分野に組織を分けているのに対し、三井化学の組織は販売先の目的に合わせて分けられています。これはつまり、さまざまな用途に使用されるポリマーの素材でも、世の中のニーズが高く市場が大きい「モビリティー」「ヘルスケア」「フード&パッケージング」に特化し、それ以外の目的ではそれほど作らないということを意味しています。

三井化学では以下の3項目にに関する需要が高まってゆくこと見越し、各事業で関連する事業を拡大する方針を示しています。事業組織名と同じキーワードを事業方針に掲げているのですから、その徹底ぶりが伺えます。

これらを踏まえて各事業の具体的な方針について記載します。

基盤素材事業は、2008年のリーマンショックではフェノール系、ポリウレタン材料などの基盤素材のままの輸出比率が高い市況製品が大幅な赤字に陥ったため、社内で生産する機能商品に必要な分の基盤素材を生産する「地産地消」を基本戦略としています。これまで、工場閉鎖を含む設備統廃合を行い、需要水準まで規模縮小を図っていますので、今後は、社内の機能商品分野の生産量に合わせて、効率化を進めてゆくという方針です。

モビリティー事業では、軽量化需要を取り込むべくエンジニアリングプラスチックの販売量を増やしてゆくための投資を行っていく方針です。

3Dプリンターによる人工歯を導入してゆく歯科業界の流れの中で、歯科材料が金属から樹脂へ変わり需要が拡大すること見越し、人工歯と歯の接着材料の生産拡大を進めてゆくとのことです。不織布に関しては、自動車、半導体製造工程のフィルターと、ヘルスケアのマスクだけではなく、モビリティー分野としても拡大を進める方針です。

フード&パッケージング事業では、世界的な人口増加に伴い食糧問題が深刻化することを見越し、農作物の安定生産とフードロス・廃棄削減を目的とした需要が増加するであろうこと見越し、さまざまな保管方法に特化した包装材料、農業用化学品と農業ハウスに使用されるビニルシートやフィルムなどを海外へ拡販してゆこうという方針です。

もっと、この会社の事業方針を知りたい方は、会社HPのIR資料を見るとより詳細が知れると思います。また、実際の仕事内容について、どのようなことをするのか知りたい方は、最終的に企業を訪ねるのがベストですが、それによって企業に第一印象を持たれるのが怖い、まだ、そこまでしたくないという方は、転職エージェント経由で仕事内容を教えてもらう方がよいと思います。紹介してもらう目的ではなく、個人では聞きにくい情報を企業に聞くためのツールとして利用してみてはいかがでしょう。

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以前プラントエンジニアの仕事内容を記載した記事を作成していますので、こちらもご覧いただければと思います。

素材メーカーの技術職の大半ってどんな仕事しているの? | もしも目指すなら (mazasunara.com)

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