2019年~2022年初までの世界経済の変化 ②コロナからインフレへ

ここでは、以下の図で、世界・アメリカ・中国・日本で起こった事象をキーワードで整理し、点と点で繋げることで、2019年から2022年初にかけて米中関係の変化・コロナ・中国の政策転換が与えた世界経済の大きな変化の流れを説明します。

②新型コロナウイルスから世界を脱炭素社会へと舵を切らせ、それが資源高を招いた

【コロナによる世界経済の停滞】

2020年初頭に広がった新型コロナウイルスは、世界各国の経済(お金の流れ)を停滞させました。

【金融緩和】

 アメリカをはじめとして各国では、国債発行と金利の値下げにより、銀行へお金を大量に与えることで、銀行から企業へ大量にお金を出回らさせ、人々にお金の消費を促し景気の回復を模索ました。(金融緩和)

【ESG投資】

 金融緩和で各国の銀行が、企業へ投資する方針として打ち出したのが、環境・社会問題・企業の透明性に積極的に取り組んでいる企業へより積極的に投資を行うESG投資です。

【グリーンリカバリー】

 ESG投資でも、2020年は、パリ協定における地球温暖化や気候変動への取り組み目標を見直す年度であったことから、ヨーロッパを中心に環境対応に対して積極的にお金を投じることで、景気回復と環境問題の取り組みを同時に解決しようという動きが強まりました。(グリーンリカバリー)

【バイデン大統領就任と脱炭素の方針転換】

 アメリカでは、トランプからバイデン大統領が就任し、脱炭素政策に方針転換し、トランプ大統領が離脱した環境に関するパリ協定に復帰を宣言しました。(インフラ法案も含む)

【シェールオイルの生産量低下】 

 コロナで化石燃料需要が停滞し、産油コストの高いアメリカのシェールオイルは、採算が合わず生産規模が減少していました。そこに化石燃料からの脱却を求める脱炭素の潮流から、投資回収を恐れ、設備増強をさらに控えるようになってゆきました。

【資源高】

 世界では、コロナからの経済回復により、化石燃料の需要が上昇しました。加えて、もともと減産していた世界1の原油算出量であるアメリカのシェールオイルは増産されないため、原油価格などの資源価格高騰に至りました。

【中国の電力不足】

 中国では、資源高で自由化となっていた電力会社の採算が合わず、発電を相次いでやめる企業が続出しました。そのため、電力不足に陥り、計画停電を国内で行う事態となりました。

【インフレ】

 アメリカでは、FRBという理事会で金融緩和の政策を決定していますが、雇用統計改善を目的に、他国より金融緩和政策を長期間実施していました。そのため、資源価格高騰とあいまって、急激な物価上昇(インフレ)が引き起こされる結果となりました。そしてインフレは、世界的へ波及しました。

【テーパリングへ】

 2022年以降、この影響を改善しようと金融緩和の急激な縮小を、アメリカをはじめ、世界が行おうとしています。これにより、世界の銀行は一時的に企業への投資を抑制するため、主に、投資の影響を大きく受けている新興国で経済力が低下する可能性があります。

 一方で世界は脱炭素の方針を変えるわけではないため、アメリカの産油量増産は、しばらく見込めません。資源価格の高騰は、方針転換がなされない限り、エネルギー転換がなされるまで続く可能性があります。

 また、脱炭素社会の推進により、世界的には動力の電動化へシフトする傾向が高まりつつあります。現在も高騰している銅やニッケルといった鉱山資源価格は、今後さらに上昇し、各国の電気機器の製造業へ打撃を与える可能性があります。

 

 

 

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