無効電力とは何者?有効電力との関係は?

電気設備に使用される物理現象の仕組み

 電気の需要の大部分はモーターで消費されます。無効電力とは、モーターで電力を動力に変換するうえで、発生してしまう力に変換されない磁気エネルギーのことを指しています。

 コイルに電流を流すと磁束が発生します。この磁束を利用すれば、以下の右に示すように、力を発生させることができます。モーターは、この方法と同様に電力を磁束に変換し、磁気の反力と引力を得ることで、回転力を得ています。

ところが、モーターではコイルで発生させる磁束のすべてを、回転力に変換する対象へ向けることはできません。一部の磁束は、直接コイルに戻ってしまいます。このコイルに戻ってしまう磁束は、電源にリアクトルを接続した状態と、まったく同じ作用となり、コイルに戻った磁束の割合だけ、電流の位相を電源電圧に対して4分の1周期遅らせてしまいます。

 無効電力とは、この力に変換されない磁束が、コイル(リアクトル)に作用する磁気エネルギーであり、有効電力とは、回転力に変換された磁束の磁気エネルギーのことを指します。

電力において、「直接コイルに戻る磁束」と「力に変換される磁束」を確認するためには、磁束の発生源となる本来2つには分かれていない電流を、磁束と同じように、「直接コイルに戻る電流」と「力に変換される電流」に、成分を分けて考える必要があります。その場合、磁束と電流は比例した関係にあるため(アンペールの法則)、電流は磁束と同じ割合で分けることができます。

この分けられる2つの電流成分に、それぞれ基準電圧をかけ合わせることで、有効電力と無効電力は算出され、無効電力は、コイル(リアクトル)に作用した磁束の磁気エネルギー、有効電力は回転出力に変換された磁気エネルギーとしてとらえることができるのです。

参考にした本

電気磁気学 (電気学会大学講座)

基礎からの交流理論

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