2019年~2022年初までの世界経済の変化 ③中国の共同富裕

ここでは、以下の図で、世界・アメリカ・中国・日本で起こった事象をキーワードで整理し、点と点で繋げることで、2019年から2022年初にかけて米中関係の変化・コロナ・中国の政策転換が与えた世界経済の大きな変化の流れを説明します。

先富論から共同富裕へ、中国の政策転換

【社会主義市場経済による恩恵】

 グローバル経済において、中国は、国際的な競争力強化を先行的な目標としました(先富論)。沿岸部の発展しやすい地域に国の資本をつぎ込み、資本主義の市場経済における競争を容認することで、汎用製品において世界市場の一強体制を築きました。それにより、沿岸部にいた国民は莫大な富を得るに至りました。

【農村孤立から貧富の差の拡大】

 一方で、国の資本の恩恵を受けなかった内陸部(農村地域)では、国土が発展せず、貧富の差が拡大しました。

【民族意識の高まりと高齢化】

一人っ子政策を推進して人口減少が進む中、ウイグル自治区や台湾などの地政学と人権の問題から、自国民族(漢民族)の意識の強固な姿勢により、移民の受け入れが拒まれました。そのため、中国は高齢化が著しいスピードで進展しています。

【共同富裕政策】

 「貧富の差」と「高齢化で引き起こされる大量の公的年金費用」から中国でが税制対策を断行する必要がありました。これら問題に対し、富の分配(共同富裕政策)を掲げることで政治不安を解消しようとしています。

【大企業(富裕層)の締め付けと統制へ】

 貧富の格差に不満を持っている国民に対して、共産党は2022年の秋の党大会(習近平国家主席などの人事を決める)における支持率を高めようと、大企業に多くの制裁を課しました。

 不動産企業では、富裕層により都心部の不動産価格が上昇していた不満に対し、銀行からの不動産企業への投資抑制措置が行われました。それにより巨大企業である恒大集団は債務不履行に陥り不動産価格が一気に下がりました。

 ハイテク企業では、富を独占しているとして、アリババが独占禁止法で罰金を科されました。

 2022年以降も、しばらく共同富裕の方針は続くとされ、企業活動を収縮させ、中国国内の技術革新を鈍化させる懸念がありますが、アメリカとの技術派遣の争いも継続しているため、税制対策が完了し、盤石な政権運営が確立されれば、市場経済の格差競争を再び容認する可能性も考えられます。

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